イタリア語のpesceの意味と使い方|魚・食文化・比喩まで例文で解説
1. 単語の基本情報
以前中国文化の研究者から、中国みたく日本美術でも金魚は縁起のいいモチーフとして扱われているか聞かれたことがあります。
「金魚」はイタリア語で pesce rosso(赤い魚)と言います。昔、中国から日本へ渡ってきた赤いブナの突然変異が、金色に近かったことが、日本語の単語の由来のようです。おそらくそののちに金魚がイタリアにも渡ったことにより、若干色が変わったり、同じ色でもイタリア人が感じ取った色が赤に近かったことにより pesce rosso となったのかも知れません(英語でも goldfish なのはこれまた面白い)。
由来はさておき、日本語の「金魚」の方が特別感があるように思えますが、イタリア語の pesce は、静けさを連想させながらも、勢いのある単語でもあるので、詳しく見ていきましょう。
| 単語 | pesce |
| 品詞 | 名詞 ※男性形は pesce、複数形は pesci |
| 発音(カタカナ表記) | ペッシェ |
| 主な意味 | 魚 |
| 由来 | ラテン語 piscis(魚)に由来。 |
2.イタリア語母語話者が教える「本当の使い方」
2-1. 例文と解説
A. 食材・料理としての pesce
例文 1
A cena mangiamo pesce.
夕食は魚を食べる。
肉(carne)と並ぶ、食事の基本的な分類。
例文 2
Il pesce è fresco.
魚が新鮮だ。
イタリアでは鮮度が非常に重視される。
B. 種類・調理法と結びつく pesce
例文 3
Pesce alla griglia.
魚のグリル。
調理法と組み合わせて頻出。
例文 4
Pesce azzurro.
青魚。
栄養・健康の話題でもよく登場。
C. 比喩的な使い方
例文 5
È muto come un pesce.
彼は魚のように無口だ。
沈黙や感情を表に出さない様子を表す。
例文 6
Mi sento come un pesce fuor d’acqua.
場違いに感じる。
非常によく使われる慣用表現。
2-2. ニュアンスの深掘り
“pesce” はイタリア語において、静けさ・控えめさ・自然の流れに身を任せる存在を象徴する。一方で、地中海文化では食卓の中心的存在でもあり、宗教的にはキリスト教の象徴としても重要。肉(carne)が「生身・欲望・現実」を表すのに対し、pesce はより軽やかで、禁欲や節制、バランスの感覚を帯びる。
一方で、sano come un pesce(とても健康である)、buttarsi a pesce((絶好の機会などに)熱心に飛びつく)などの表現から、魚は健康や勢いを象徴するものでもあると言えます。
例:Il venerdì si mangia pesce.
金曜日は魚を食べる。
2-3. 日常の中での登場シーン
レストランや家庭の食事
Prendiamo pesce stasera.(今夜は魚にしよう)
市場や買い物の場面
Questo pesce è fresco?(この魚、新鮮ですか?)
比喩で感情を表すとき
È muto come un pesce.(驚くほど無口だ)
居心地の悪さを表現するとき
Mi sento un pesce fuor d’acqua.(場違いな気分だ)
ちなみに、12星座の「魚座(うおざ)」は pesci(複数形)です。
3.疑問に答えるQ&A
Q1. pesce と pescato の違いは?

pesce は一般的な「魚」。
pescato は「獲れた魚」「水揚げされた魚」で、鮮度や産地を意識する語。
Q2. 複数形 pesci はどんなときに使う?

種類や個体を数えるとき。
I pesci del Mediterraneo.(地中海の魚たち)
4.関連表現・派生語
よく使われる連語
pesce fresco(新鮮な魚)
pesce alla griglia(魚のグリル)
pesce azzurro(青魚)
派生語
pescare(釣る)
pescatore(漁師)
peschereccio(漁船)
この単語を含む慣用句
muto come un pesce(非常に無口)
come un pesce fuor d’acqua(場違いな)
né carne né pesce(どっちつかず)
non sapere che pesci pigliare(どうしていいか分からず途方に暮れる)
prendere qualcuno a pesci in faccia(人をひどい言葉で罵倒する、無礼な扱いをする)
buttarsi a pesce((絶好の機会などに)熱心に飛びつく)
chi dorme non piglia pesci(「寝ている者は魚を捕まえられない」=怠け者にチャンスはない)
個人的には buttarsi a pesce((絶好の機会などに)熱心に飛びつく)という表現を聞いて、私は水泳の飛込競技を連想します。高いところから、真っ直ぐ水しぶきをあまり立てずスッと水に飛び込んでいるような、勢いがありつつもきれいな動きのように物事に食らいつく、そんな姿を想像させられます。
まとめ
| コアの意味 | 魚 |
| 広がる意味 | 食文化、静けさ、節制、比喩表現 |
| ネイティブの感覚 | “pesce” は軽やかで、文化的に深い象徴を持つ語 |
| 発音の注意 | 「ペッ」をやや詰めて、「シェ」は軽く流す。 |
イタリア語の buttarsi a pesce((絶好の機会などに)熱心に飛びつく)のように、日本語でも「水を得た魚」と言いますが、日本人もイタリア人も魚の活発な動きに似たような感覚で注目したと考えられます。歴史や文化が違えど、「魚」から連想する象徴的な意味は近しいのかなと思える単語です。
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