【「右」だけじゃない!】イタリア語の「destra」の本当の使い方:方向から比喩まで
1. 単語の基本情報
| 単語 | destra |
| 品詞 | 名詞(女性名詞)、形容詞、副詞 |
| 発音(カタカナ表記) | デストラ |
| 主な意味 | 右、右側、右手、右方向、(比喩)保守派・右派 |
| 由来 | ラテン語 dextera(右手)に由来。古代から「器用さ・力の象徴」とされ、現代イタリア語にも多様な意味で残る語。 |
2.イタリア語母語話者が教える「本当の使い方」
2-1. 例文と解説
A. 最も一般的な意味:右/右側
例文 1
Gira a destra.
右に曲がって。
道案内やナビで最もよく使われる基本語。“destra” 単体で「右方向」。
B. 名詞としての「右の側/右手」
例文 2
La destra della stanza è più luminosa.
部屋の右側の方が明るい。
身体の右手を指すときも “la destra”。反対語は “sinistra(左)”。
C. 形容詞:右の〜
例文 3
La mano destra è più forte per me.
私にとって右手の方が強い。
形容詞として名詞を修飾できるが、日常では名詞のまま使われることが多い。
D. 比喩:政治的な「右派」
例文 4
La destra ha vinto le elezioni.
右派が選挙に勝った。
政治の文脈では「保守派・右派」の意味。文脈が完全に異なるので注意。
2-2. ニュアンスの深掘り
“destra” は方向だけでなく「得意な側」「自然に使う側」を表すことがあり、利き手の話題でも頻繁に登場する。
イタリア語では「右=正確・器用」「左=不器用」という古い迷信が残っているため、destra にはわずかにポジティブな含みがある。
また政治の話題では全く別の意味になるため、文脈判断が重要。
例文:Sono destro con il cucchiaio, ma sinistro con i lavori manuali.(スプーンは右手の方が得意だが、手作業になると左みたいに不器用だ)
2-3. 日常の中での登場シーン
道案内・移動の場面
Prendi la prima a destra.(最初の角を右へ)
家の中での位置説明
Il bagno è sulla destra.(トイレは右側にある)
利き手の話題
Scrivo con la destra.(私は右手で書く)
スポーツや動作の説明
Colpisci con la mano destra.(右手で打って)
3.疑問に答えるQ&A
Q1. “a destra” と “alla destra” の違いは?

a destra=右に/右方向に
alla destra(di〜)=(〜の)右側に
例:alla destra della chiesa(教会の右側に)
Q2. 身体の「右手」は “mano destra” と “la destra” のどちら?

どちらも自然。
ただしスポーツや動作では短い “la destra” がよく使われる。
4.関連表現・派生語
よく使われる連語
a destra(右へ)
sulla destra(右側に)
mano destra(右手)
派生語
destro(右の/右利きの)
この単語を含む慣用句
avere la destra libera(右手が空いている)
essere la mano destra di qualcuno(誰かの右腕=最も信頼される部下)
dare ragione a destra e sinistra(誰にでもイエスと言う)
5.おまけ:ちょっとしたイタリア小話
イタリアで運転していると、ときどき「ウインカーは右、でも実際は左へ」みたいな車に出会う。
もちろん全員がそうではないけれど、焦っているのか、気分なのか、矢印の指示とは逆方向へスッと進んでいく車を見るたびに、思わず「えっ、そっち⁉︎」と声が出てしまう。

イタリア人の友人に言うと「まぁ、だいたいで分かるでしょ!」と笑われるのがまたイタリアらしい。
まとめ
| コアの意味 | 右、右側、右方向。 |
| 広がる意味 | 利き手、比喩的な右派の意味にも。 |
| ネイティブの感覚 | 日常でも政治でも使われる多層的な言葉。 |
| 発音の注意 | 「デストラ」。語頭の de を軽くはっきり。 |
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