本サイトの語彙一覧は、以下の文献を基礎資料として整理・編集しています。
Nuovo vocabolario di base della lingua italiana
Tullio De Mauro
Guida all’uso delle parole, n.3 dei “Libri di base”
1ª edizione, Editori Riuniti, Roma, 1980, pp.149–183.
執筆者について — トゥッリオ・デ・マウロ(Tullio De Mauro)
トゥッリオ・デ・マウロ(1932–2017)は、イタリアを代表する言語学者の一人で、語彙学・社会言語学・教育に関する多数の著作で知られます。
語彙の頻度や「利用可能性(availability)」に基づく語彙研究や、話し言葉の頻度辞典など、実用的かつ教育に役立つ言語資源の整備に大きく貢献しました。彼の仕事は、辞書編纂やイタリア語教育の基盤として広く参照されています。
この文献(『Guida all’uso delle parole』)の位置づけと目的
『Guida all’uso delle parole』の付録として提示された「Vocabolario di base(基本語彙)」は、単に頻出語を列挙するだけでなく、言語使用の実態(テキストの統計的分析)と、話者の言語感覚(“利用可能性”)の調査を組み合わせて構成されています。De Mauro は「高頻度の語」と「高い利用可能性を持つ語」という二つの観点を統合して、学習者や教育現場で本当に役立つ語彙群を示そうとしました。これにより、教科書や辞書が伝統的に重視してきた“文学的・歴史的カノン”から距離を置いた、実用志向の語彙リストが提示されました。
語彙リストの構成と見え方(どのように分けられているか)
原著ではリストがアルファベット順に示され、語の視覚的な区別(太字、通常活字、斜体など)で、語の「役割」や「重要度」が表現されています。具体的にはおおむね次のような区分がされています:
- 基礎語(vocaboli fondamentali):最も重要で、教育的にも中心となる語。
- 高使用語(alto uso):テキストで頻繁に出現する語(統計的に算出)。
- 高い利用可能性(alta disponibilità):日常話者が認知し、すぐに使えると感じる語(調査に基づく)。
この二軸(頻度 × 利用可能性)を組み合わせる考え方により、約数千語におよぶ「基本語彙」の一覧が成立しています。
当ブログでは、この複雑な区分をより直感的に理解できるよう、使用頻度の目安を3段階(★=低頻度、★★=中頻度、★★★=高頻度)で示しています。
これはDe Mauroの区分を簡略化したもので、学習者が「どの語から優先的に覚えるか」を判断しやすくするための工夫です。★が多い語ほど日常でよく使われる語であり、★★★の語から覚えることで効率的に語彙を広げていけます。
研究的・教育的な位置づけ(なぜ重要か)
De Mauro のVocabolario di baseは、語彙習得の効率化に資する資源として評価されています。研究者はこのリストをコーパス分析や教科書設計の基礎データとして利用し、教育現場では「どの単語を優先して教えるか」を判断する助けになっています。学術的には、頻度辞典(frequency dictionaries)と話者調査に基づく利用可能性データを併用する点が重要とされています。
類似資料との比較(簡単なガイド)
同分野には、辞書編纂者や言語学者による様々な語彙リスト・頻度辞典があります。
例えば、伝統的な総合辞典(Devoto–Oli、Zingarelli 等)は語義説明や語源、用例を重視しますが、De Mauro のVocabolario di baseは「教育的・実用的優先度」に重心があります。
また、純粋な頻度辞典はコーパスに現れる出現回数に特化しますが、De Mauro は出現頻度に加えて「話者の感覚(利用可能性)」を取り入れているのが特徴です。用途に応じて、総合辞典・頻度辞典・基本語彙リストを使い分けると良いでしょう。
当サイトでの扱い方 — 行った加工と工夫
本サイトでは、上記のDe Mauro の基本語彙を、そのまま単に転載するのではなく、学習者や読者が実際に使いやすい形に整えました。具体的には:
- Excelデータ化
原著の語彙を Excel に入力し、管理しやすいフォーマットに整えました(見出し列:単語 / 品詞 / De Mauro上の区分 等)。この形にすることで、並べ替え・検索・フィルタリングが容易になり、学習用途に応じた抽出(例:動詞だけ/生活語のみ/頻度上位500語など)がすぐにできます。 - 私なりの説明の付与
各単語に対して、学習者が誤解しやすい用法や近い語との違いを短めに注釈として付けています。実用的なコツ(よく使われる前置詞の組み合わせ、口語/文語の違いなど)も随時追加しています。 - 例文の追加
学習に直結するよう、短くて覚えやすい例文を自分で作成し、逐一付記しました(例文は実際の会話や簡単な文章で使えるフレーズを重視)。
このように加工することで、単語リストは「索引用のデータ」から「学習に使えるツール」へと変わります。読者の方はページ上で単語を確認しつつ、Excel版をダウンロード/印刷して学習に使うことも想定しています(※現在、データ整理中)。
使い方のヒント(読者向け)
- 初級学習者:De Mauroの「基礎語」や高頻度語からまず覚えるのがおすすめ。
- 中級以上:利用可能性の高い語+用例で定着させ、コロケーション(語の結びつき)にも注目する。
- 教師や教材作成者:Excelのフィルタ機能でトピック別リスト(旅行/仕事/家庭など)を作ると授業準備が楽になります(※現在、データ整理中)。
出典・参考資料(主要出典)
- De Mauro, T. Guida all’uso delle parole, Editori Riuniti, Roma, 1980 (Vocabolario di base, pp.149–183).
- 解説・再公開(オンラインPDF)および解説記事。 Internazionale.it
- De Mauro に関する研究紹介・方法論(頻度 × 利用可能性の統合について)。Università degli Studi di Trieste
最後に
この語彙一覧は、単語を「丸暗記」するためのものではなく、言葉の使われ方や“使える度合い”を意識して、日常で自然に使える語を身につけるためのツールです。
私(筆者)はこの文献をExcel化して、注釈と例文を添えることで、あなたの学習を少しでもラクに、そして楽しくすることを目指しました。
どうぞ気軽にご活用ください!




